フットボール?それとも蹴球?

屋良充紀(やらみつとし)コラム-フットボール?それとも蹴球?
僕も一応は指導者なので、講習会に参加したりして、なんとか選手達によい刺激を与えてあげられればいいな、なんて考えている。
(自分でいうのもなんだが、この歳になってやっと人の事を考えられる様になったのだ。素晴らしい成長である。)
まあ、考えるといっても元々があまりきちんとしたタイプではないので、大抵はイメージでその日の練習メニューを決めちゃったりしている。
即興の時の方が、とても良かったりする。
僕の指導テーマというと大げさだが、そんなものがあるとすれば、個性的で型破りな選手を育てたいというか、見守ってあげたい。
そう、僕のやり方は、素材で勝負。
自分だけの「何か」に磨きをかけとくれ。
左足しか使わないならそれでいいんじゃない?
そのかわりただの左足じゃなくてとんでもない左足にしてね!って選手に話してる。
なもんで、我がチームでは、一癖も二癖もある奴が多い。
この間部屋を片付けていたら、日本サッカー協会の指導ビデオがVol1〜3までと御丁寧にゴールキーパー編まで出てきた。
全部見る勇気は無いけど、ちょっとだけならと思いスイッチオン。
何でも教えちゃえーみたいな感じ。
例えるなら自動車学校の様。
あれほど「キープレフト」なんて言っていたくせに、路上に出たらそんなに左ばっかりによって走ってばっかりいられないでしょう。
極端な話だがあまりサッカーをやってこなかった人で、少年チームのコーチをやろうなんて人がこのビデオを見て勉強したら、いったいどんなプレーヤーが出来るのか。
「マノン!」「グッドボディーシェイプ!」なんてね。
おーこわい。
心の拠り所っていうのか、ああいうレクチャーものは好きな人多いからね。
でも自分の考えがあってあれを見るのならいいけど、そうでないとやっぱり恐ろしい事になりそう…。
まあ、南米の選手にあの通りトレーニングしたら、いったい何人が言うことを聞いてトレーニングしてくれるかな一なんて思ってしまった。
もう一つ付け加えれば、出演している子ども達の妙に機械的で、精密で、上手いのが気になって気持ち悪かった。(彼らが悪いのでは決してないのだが…)
でもどうして練習の練習になりがちなトレーニングばっかり紹介するのだろう?
ちなみに僕達南米人がやってきたトレーニングってどんなだったかなー。
思い出してみると、本当に良くやったのは、2タッチゲームボール回しサッカーバレー、あとはいうまでもなく紅白戦
フィジカルトレーニングもほとんどボールを使って、飽きないように遊びの要素が沢山入っていた。
メンタル的に僕達南米人は、きつい事や、つまらない事は出来ればやりたくない。
きついトレーニングを美学だと思ってガンガンこなしてしまう日本人には、理解出来ないのかもしれないね。
エクアドルのグリーンクロスにいた時も、週始めの練習の時だけフィジカルトレーニングとサッカーバレーをやるけど、あとは紅白戦だった。
ある日監督に「今日はどんな練習するの?」って聞いたら「サッカーに決まってんだろ、ゲームだゲーム、お前何の選手だ?」と言われてしまった。
コロンビアのミジョナリオスやサンタフェにいた時も、7対7のボール回しもよくやったけど、やっぱりいつも紅白戦が主流だった。
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サッカーって全て流れの中で何が出来るか、どんなテクニックでどんな判断をするか、でその選手の上手いか下手かが決まるもの。
似た様な場面はあっても全く同じって事は2度と起こらない。
そんな中でゴルフや野球の様に一回一回止まってやるスポーツじゃあるまいし、パターンの練習を多く取り入れるのは、ナンセンスじゃない?
第一、ゲーム形式じゃなきゃ面白くないよね。
面白くなきゃやりたくないし。
こんな事もあった。
ブラジルで講習会があった時、他にも何人か日本から受講しに来ていた監督さん達がいた。
その中にある有名高校の監督さんが「ペネ」という元セレソンで、その当時パレストラというサンパウロ州2部のチームの監督に「フェイントはどの様に教えたらいいか?」なんて質問して、
「フェイントなんてものを教えようなんて発想がよく理解出来ない」
「そんなものを教えようとする考えを変えなさい。そんな事を言ってるからダメなんだ!」
なんて怒られていた。
あと怖いのはさっき話したけど、南米選手は嫌な練習は手を抜くの。
言い方を変えれば一人一人が判断できる、
「この位やっておきゃいいべ」ってな感じで、ずるいけどね。
でも、日本の子ども達はコーチに言われたら全て信じちゃう。
コーチが怖いってのもあるけどね。
だから真夏のゲーーム前のアップでガンガン走っても誰も「ヤダヨ、コーチ。これじゃアップじゃなくて、ギブアップだよー」
(おやじギャグです)なんて誰も言わず、黙々と走ってんの。
ゲームの前に死んじゃうよ。
もう体は十分温まってるつーのにね。
僕達南米人と日本人のメンタルは違うけど、サッカーが好きだって事には変わりないし、練習もパターン練習じゃなく、流れのある練習の方が楽しいに決まっている。
日本の反復練習のイメージを全てサッカーに持ち込むと、判断力の無い養殖物ばかりが出来上がってしまうのではないか、
個性的で型破りな天然物と数多く出会いたいものだ。
マラドーナバルデラマロマーリオアスプリージャエジムンドらのプレーが、パターン練習で育ったとは思わないでしょ?
さあ、今日もゲームやろ一っと。
やらり〜
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屋良充紀プロフィール
やら・り〜の俺に言わせろ
【ライセンス】
・日本サッカー協会公認A級U12コーチ
・日本体育協会指導員
・ブラジルサッカー連盟サンパウロサッカー協会公認指導者コース終了
・コロンビア、アンティオキアサッカー協会指導者コース終了
【選手歴】
・モンチ・ネグロFC(90/2~90/12 ブラジル)
・ECコメルシアル(91/2~92/1 ブラジル)
・ECサント・アンドレ(92/4~92/12 ブラジル)
・GEマウアエンセ(93/1~93/6 ブラジル)
・グリーン・クロス(95/5~95/8 エクアドル)
・インデペンディエンテ・サンタフェ(99/5~99/12 コロンビア)
【指導歴】
・エスコリーニャFC 代表・監督(94~現在)
・インデペンディエンテ・サンタフェ 選手兼任でサテライトチームコーチ(99/7~99/12)
・横浜FC泉Jrユース 監督(2000/10~2007/3)
・神奈川県立和泉高等学校サッカー部外部コーチ(2005/4~2006/3)
・シリアフットボールアカデミーU14、12 ヘッドコーチ(2008/1~2009/6)
・シリア代表コーチ兼テクニカルスタッフ(2008/10~2009/6)
・kazuSCJr.ユーステクニカルアドバイザー(2009/11~)
【メディア出演】
・「もぎたて朝一番」 火曜日フットサルのコーナーでレギュラー出演
・「とんねるずの生でダラダラいかせて」 ノリタケ少年サッカー団コーチ
・「ヤラッチのサッカー見聞録」 司会
・「YCV保土ヶ谷区少年フットサル大会」 解説
・「サッカー天国!~O Paraiso de Futebol!~」
・「青空へシュート!(監督:すずきじゅんいち 主演:宍戸開)」
【執筆記事】
・JFAシリア派遣レポート
 
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