指導者インタビュー

『川口市からJリーグの誕生を本気で目材している』アヴェントゥーラ川口のトップチーム。

そんなトップチームと練習会場も一緒で、プロとして活躍している選手を間近に見ることができる環境が整っています。
また、毎年中学3年時には海外（ヨーロッパ）遠征へ行き、日本と海外の差を実際に体験しています。
そんなアヴェントゥーラ川口の長岡修監督のサッカー観・指導論をご覧ください。


小倉

本日はお忙しいところお時間を頂きましてありがとうございます！
チームのことや長岡さんのことを色々とお聞かせ頂ければと思いますので、宜しくお願いします。

こちらこそ宜しくお願いします。

長岡修

アヴェントゥーラ川口のチームコンセプト

小倉

まずは、アヴェントゥーラ川口のチームコンセプトを教えて頂いてもよろしいでしょうか。

うちのクラブチームはジュニア世代から、『川口市からJリーグの誕生を本気で目指している』トップチームまであるんですけど、ジュニア世代に積上げてきたものを活かしながら、想像力や基礎力の強化・応用に取り組んでいるクラブチームとなります。
また、ジュニアユース世代後も、高校、大学、プロでも活躍して欲しいですし、仮にプロに成れなかったとしても、指導者や社会人として活躍できるように人格形成の部分にも重点をおいて、スタッフ一同指導しています。

長岡修

アヴェントゥーラ川口の特徴

小倉

アゥェントーラ川口の特徴は何かありますか？

指導者が経験豊富なところと、育成アドバイザーと呼ばれている勉強会のインストラクターをやられている方とも契約をしていて、指導方法の相談をしたり、今後どうすればチームが良くなるかといったディスカッションをして、それを現場の指導に落とし込んでいるので、そこはうちの特徴かなと思います。
あとは、もちろん育成アドバイザーの方に現場にも実際に来てもらって、僕らも刺激を受けるような練習をしてもらっているので、そういった点はなかなか他のチームにはないのかなと思います。

長岡修

小倉

先ほどのお話にもありましたけど、トップチームを持っていると言う点も特徴ですよね？

そうですね。
トップチームと練習会場も一緒なので、プロとして活躍している選手を間近に見ることができるというのは大きいのかなと思います。
しかも、うちのチームの選手は元Jリーガーとかではなくて、現役バリバリの選手が在籍していて、たまに子供たちに指導もしてくれるので、そういった点は貴重な経験になるのかなと思います。
あと、トップチームの試合を観ることによって、「いつか自分もこういう舞台でやりたい」と思えるので、そういったモチーベーションが上げられる環境もうちの特徴だと思います。

長岡修

指導方針

小倉

アヴェントゥーラ川口の指導方針をお聞きしてもよろしいですか？

基礎的なことですけど、「止める・蹴る」というのは、サッカーの試合の中では数多いことですから、いろいろな動きの中でできるように普段の練習から取り組んでいます。
あとは、できるだけ強いチームにも勝っていきたいと子供たちも思っているので、運動量であったり献身的なプレーというのは、チームとして強化していきたいなと考えています。
もちろん見てても楽しいサッカーをさせたいというところは本音ですが、それだけでは強いチームは作れないので…。

長岡修

レギュラーとサブ組に関して

小倉

「レギュラーとサブ組を固定しているのはおかしい」といったような議論が育成年代では多く聞かれると思うんですけど、アヴェントゥーラ川口ではいかがでしょうか？

うちのチームは固定はあまりしていなくて、プレーはもちろんなんですけど、プレー以外のところでも何か気が抜けたことがあれば入れ替えるようにしています。

長岡修

小倉

それはなかなか厳しいですね。

そうですね。
試合に出れない選手が、あいつならしょうがないなって思えるような人間性を兼ね備えて欲しいんですよね。

長岡修

小倉

たしかに、それだとチームもまとまりますし理想ですね。

はい。
サッカーって足元がある選手ばかりが試合に出られる訳ではないですし、ましてや足元がある選手がたくさんいれば勝てるっていう訳でもないじゃないですか！？
泥臭く頑張れることでチームにプラスなることもあるので、そういった人間性の部分も見るようにはしています。

長岡修

アヴェントゥーラ川口の強み

小倉

アヴェントゥーラ川口のストロングポイントを教えて頂いても宜しいですか？

トップチームもあるので、協賛していただくためにいろいろな社長さんとお会いする機会があってサッカー以外の話もするんですけど、その際に「いろいろな経験を積んで、さまざまな情報を得たほうが良い」って言われることが多いので、中学3年時には海外遠征に行くようにしているんですよ。

長岡修

小倉

どちらに行かれるんですか？

ドイツやイタリアですね。

長岡修

小倉

海外遠征は全員必須でしょうか？

はい。
基本的には全員必須です。
なので、入団前の説明会では毎月1万円で良いので、貯金しておいてくださいと保護者には伝えています。

長岡修

小倉

良い経験になりますね。

はい。
世界にちょっと近付くことができるというか、見れますからね。

長岡修

小倉

ちなみに海外の選手ってどうですか？

対戦相手は全員がプロを目指していて、育成も国として力を入れて取り組んでいるので、ドイツなんかは、先程お伝えした「止める・蹴る」に関しては徹底していますし、小さい子でもダイレクトでインサイドキックをバンバン蹴ってますよね。

長岡修

小倉

そういった海外と日本の差を生で感じれるのは良いですよね。
他には海外と日本の差って何かありますか？

先程のレギュラーとサブ組の入れ替えの話じゃないですけど、海外では小さい頃から入れ替えが激しいらしいんですよ。

長岡修

小倉

チーム自体も変わるって聞きますもんね。

そうなんですよ。
上手い子はどんどんレベルの高いチームに引っ張られていきますし、逆に通用しないと下がってしまうケースもありますからね。
ドイツの現地の人に「ゲルマン魂ってどこから来てるんですか？」って聞いた事があったんですけど、その方の意見では、「小さい頃から競争環境があるのでメンタルが鍛えられていて」、それがゲルマン魂に繋がっているんじゃないかって言っていました。

長岡修

小倉

なるほど。
日本ですと、徒競走でも順位をつけないようにとか、競争環境が減っていますもんね。

そうですね。
たしかに育成では勝ちにこだわってはいけないとかありますけど、ただ、スポーツをやっている以上子供たちは勝ちたいですし、うまくなるためやプロになるためには 『勝利』は近道ですからね。
勝ちにこだわりすぎず、勝ちを目指していきたいなと思います。

長岡修

中学年代で伸びる子の特徴

小倉

中学年代で伸びる子に何か特徴はありますか？

それは意識ですかね。
「人の話を聞く」って言うことをひとつ取ってもそうですけど、指導者もただ闇雲にアドバイスをしている訳ではなくて、プロになれた指導者もなれなかった指導者もいますけど、「もっとこうしておけばいい選手になれた」と思ったことを伝えているので、そういった実体験を踏まえたアドバイスなのでしっかり聞いてる子は成長しますよね。

長岡修

小倉

たしかに。
右の耳から左の耳の子もいますもんね。

はい。
コーチの話を聞いてる子・聞いてない子はすぐわかりますよ。
下向いてる子やポカーンと聞いてる子はコーチのアドバイスを逃しちゃってるのかなと思います。

長岡修

小倉

それはもったいないですね。

あとはボールを触る時間を増やすことですよね。
個人的にはみんなで練習するよりも、自分で足らないこと・強化することを考えて、それを自分で練習するのがいちばん伸びると思うんです。
チーム練習ってあくまでもチームとしての連携とか息合わせとか、こういうことを考えていければいいよねっていう意識のすり合わせの場だと思うんですよ。

長岡修

小倉

たしかに。
チーム練習だけでは自分の課題の克服ってできないですよね。

はい。
しかも、選手一人一人が「今日は周りを見ることを意識しよう」とか、課題克服に取り組んでいくことで、チームの強化にも繋がるんですよ。

長岡修

勉強とクラブチームの両立

小倉

気にされる親御さんも多いと思うんですけど、勉強とクラブチームの両立って可能だと思いますか？

これは自慢話になっちゃうんですけど、昨年のうちのキャプテンは練習も全然休まずに浦和高校に入学していますし、何年か前にキャプテンをやっていた子も早稲田本庄高校に入学しているんですよ。

長岡修

小倉

それはすごいですね。

練習を休まないでもできていた子たちを見ちゃうと、勉強もサッカーも自分自身がどう向き合うかとか、考え方・意識が大事なんじゃないですかね。

長岡修

小倉

たしかに。
意識が変われば行動が変わるって言いますしね。
まずは、意識を変えることが大切なんですね。

はい。
あとは、やり方もですよね。
浦和高校に入学した子が「お前のやり方が問題なんだよ」って、よく仲間に言ってましたからね（笑）

長岡修

小倉

それは厳しい（笑）

そうは言いながらも、遠征とか合宿のときは仲間に勉強を教えてましたけどね。

長岡修

小倉

さっきの発言は撤回して、それはすばらしい（笑）

なので、保護者説明会でも言うんですけど、勉強とサッカーを天秤にかけるのではなくて、「サッカーはサッカー」「勉強は勉強」でそれぞれにどういう風に向かい合うのかを考えるのが大切なんだと思います。
「授業を真剣に聞いてる」だけでも、点数はそれなりに取れるとは思うので、先ほどもお伝えしましたけど、意識の部分を大切にしてほしいなと思います。

長岡修

小倉

サッカーも勉強も高い視座で、強い意識を持って取り組むと。

はい。
勉強ができないのをサッカーのせいにして欲しくないですし、もっと言うと、親に「サッカーばっかりしてるから勉強ができない」って、思われないように子供たちは頑張ってほしいですね。

長岡修

小倉

「親は文句ばかりでうるさいな」ではなくて、「親に文句を言わせない」ように子供たちも頑張ればいいんですね。

好きなサッカー選手や指導者

小倉

ちょっと視点を変えて、好きなサッカー選手や指導者を教えて頂いてもよろしいですか？

私はストイコビッチがすごい好きだったんですよね。
観ていてワクワクしていました。

長岡修

小倉

実は僕もストイコビッチのファンだったんですよ。
リフティングのドリブルで独走している試合もありましたよね。

はいはい、ありました！
懐かしいですね。
ストイコビッチって実は普通のドリブルも凄く綺麗なんですよ。
マラドーナとは違う華麗さ・美しさがあって、僕が唯一サッカー選手の中でお金を払ってでも観たいと思った選手でしたね。

長岡修

小倉

指導者では誰かいますか？

指導者では独自のチームのカラーを持っている人間が好きです。

長岡修

小倉

具体的にいますか？

例えば、フラット3のトルシエ監督とか、W杯ではベスト16止まりでしたけど、チームとして組織だっていておもしろい監督だなって思いましたし、シメオネ監督も前線から激しくディフェンスをしたり、お金がない中でも戦術でチームを強くしている点は魅力的だなと思います。

長岡修