指導者インタビュー

現役時代は愛媛FCで背番号10番を背負い、JFLの優勝にも貢献した金子豊代表率いる加須ジュニアユース。
今回は高校時代の後輩で監督を務める大山監督にお話を伺いました。
まずはディフェンスを徹底させる指導方針。
その理由はなぜなのか？
加須ジュニアユース・大山伸明監督のサッカー観・指導論をご覧ください。

小倉

本日はお忙しいところお時間を頂きましてありがとうございます！
チームのことや大山さんのことを色々とお聞かせ頂ければと思いますので、宜しくお願いします。

こちらこそ宜しくお願いします。

大山伸明監督

チームコンセプト

小倉

チームコンセプトを教えていただいてもよろしいでしょうか？

チームとして何かというより、個を伸ばすということがチームコンセプトになります。

大山伸明監督

小倉

なるほど。
オンリーワンの武器を身につけさせているんですね。

ただ、まずはディフェンスを徹底させてますけどね。

大山伸明監督

小倉

そうなんですね。
ディフェンスを徹底している理由って何かあるんでしょうか？

攻撃もボールを奪ってから始まりますし、あとはディフェンスができないと上に行ったときに使われなくなっちゃうんですよ。

大山伸明監督

小倉

たしかに。
強豪校以外だとどうしてもディフェシィブにならざるを得ないので、ディフェンスが不得意だと使われないって言いますよね。

そうです。
それなので、うちは攻撃的な選手でもディフェンスは徹底させています。
それが一つ目のコンセプトで、あとはうちは子供たちを17人以上は取らないというのを決めています。

大山伸明監督

小倉

子供たちをより手厚く見たいということでしょうか？

そうです。
30人・40人を一人で見てるチームもありますけど、正直、1人で見ることのできる人数の限界って15・16人だと思うんですよ。

大山伸明監督

小倉

たしかにそうですね。
でも経営的には大変ではないですか？

もちろん苦しいですよ。
ただ、子供の成長という観点で考えると、なかなか17人以上は獲得できないですよね。

大山伸明監督

小倉

すばらしい考えですね。
16人だとセカンドチームっていう概念もないですもんね。

はい、ないです。
しかも、30人いるチームと練習試合をすると、対戦相手は一人2試合だとしたら、うちはその倍の4試合経験を積むことができるので、体力も付きますし成長できますよね。

大山伸明監督

小倉

たしかに、試合から学べることって多いですもんね。

指導者として心がけていること

小倉

指導者として心がけている事はありますか？

ミスをしても良いので常にチャレンジをさせるように心がけています。

大山伸明監督

小倉

監督やコーチの顔色ばっかり伺って、チャレンジしない子供が増えてくる年代ですもんね。

はい。
それなので、うちは逆にチャレンジしない時のほうが言うようにしています。

大山伸明監督

中学3年間で伸びる子の特徴

小倉

中学3年間で伸びる子に特徴は何かありますか？

性格的には『俺が俺が』っていうタイプの子で、自分を出せる気持ちの強い子だと思います。

大山伸明監督

小倉

なるほど。
成長するには性格も重要なんですね。

そうだと思います。
そういう性格を鍛えるためにという訳ではないんですけど、うちは1年生と3年生が合同で練習をしていて、できる子は1年生のうちから3年生に混ざってるんです。

大山伸明監督

小倉

試合もですか？

もちろん。
現に今8月ですけど、1年生で、2年生・3年生のリーグ戦に出てる子もいますし、もっというと、練習会場が花咲徳栄高校なので、高校生に混ざって練習している子もいます。
ちなみに、今日なんかは1年生も8対8のミニゲームで高校生と対戦しました。

大山伸明監督

小倉

それはめちゃくちゃ貴重な経験ですね。
3年生になると、進学のために高校生とTMをすることはありますけど、普段の練習時からっていうのはあまり聞かないですよね。

はい。
ただ、できない子たちはまずは基礎を徹底させてますけどね。

大山伸明監督

小倉

そうなんですね。
個々に合わせた練習メニューを設定して頂けているんですね。

はい。
いまは特にセレクションを設けてなくて、練習会に参加してもらって3年間本当に続けられそうな子供たちだけに来てもらっているので、個々の能力ってけっこうバラバラなんですよ。

大山伸明監督

小倉

なるほど。
本当に続けられそうかどうかを見てるってことは、練習は厳しいのでしょうか？

はい。
うちは走られせたり、ディフェンスの時も足だけで取りにいくと逆に怪我してしまうので、しっかり体をぶつけてボールを奪取する練習もしているので、捉え方によっては厳しいと思います。

大山伸明監督

小倉

でも、上の年代でも活躍するには必要なことですもんね。

はい。
そういうのを積み重ねて、高校でレギュラーが取れるような指導を心がけています。

大山伸明監督

チーム選びに関して

小倉

ジュニアユースのチーム数って数多くありますけど、どういった観点で選べば良いと思いますか？

いろいろな観点があると思いますけど、個人的な意見ではコネというか中学卒業後にいかに先に繋がるかという観点で選んでも良いのかなと思います。

大山伸明監督

小倉

というと、そういったコネのようなものがあるんですね(笑)

そうですね。
代表に言えば大学やその先も紹介してもらえることもありますからね。

大山伸明監督

小倉

それは大きいですね。
改めて『金子豊』代表についてお伺いしても良いですか？

はい。
経歴としては、花咲徳栄高校から亜細亜大学に進んで、大学の3年時には関東大学リーグのアシスト王に輝いて、4年時には関東大学2部リーグ優勝に貢献して、関東大学2部選抜にも選出されています。

大山伸明監督

小倉

輝かしい経歴ですね。
その大学時代の活躍が認められて愛媛FC進まれんたんですね。

はい。
ちなみに、愛媛FC時代は背番号10でJFLの優勝にも貢献しています。

大山伸明監督

小倉

それはいろいろなところに繋がりがありそうですね。

そうでうね。
進路以外でも例えば練習試合一つ取っても、代表の金子の繋がりで今度湘南ベルマーレと試合をしますし、他にも上州FC高崎とか、県内でも1FCとかFCKASUKABEとも練習試合をさせてもらえます。

大山伸明監督

進路に関して

小倉

ちなみに代表の金子さんと大山さんってどういったご関係なんでしょうか？

二人とも花咲徳栄高校出身で、代表の金子が先輩で自分が後輩になります。

大山伸明監督

小倉

先輩後輩の間柄だったんですね。
ということは、やはり花咲徳栄高校に進学する子供たちは多いですか？

もちろん花咲徳栄高校に進学する子は多いですけど、浦和西高校や伊奈学園といった公立高校に進学する子もいますし、他県の矢板中央高校や佐野日大高校に行った子もいます。

大山伸明監督

小倉

幅広いですね。
ジュニアユースで活動をしていると、勉強との両立が困難で公立高校に進学するのも大変な気がするんですけど、県内でも有数な進学校に進学する子もいるんですね。

はい。
うちは火・水・木・土・日が活動日なんですけど、成績が悪い子は水曜日の練習には参加できないんですよ。

大山伸明監督

小倉

それは厳しいですね。
成績の良し悪しの判断はどうされているんですか？

そこは個別になっていて、例えば10だった一学期の成績が一段階下がったとなれば、その時点で参加できません。

大山伸明監督

小倉

親にとっては安心ですけど、子供にとってはきついですね（笑）

はい。
それなので、サッカーがうまくなりたいなら、勉強もしなさいっていうことになりますね。

大山伸明監督

今後の目標や夢

小倉

今後のチームとしての目標をお聞きしてもよろしいでしょうか？

うちは小学生年代のスクールもやっていて、レベルや強度は違いますけど同じコンセプトでやっているので、一人でも多くの卒業生がジュニアユースのチームにも加入してほしいです。

大山伸明監督

小倉

そうすると9年間一貫した教育が実施できますもんね。

はい。
でも、厳しいから他のチームに行く子もいるんですけどね(笑)

大山伸明監督

小倉

なるほど(笑)
ただ、厳しくないとうまくならいですよね。

はい。
あとは他の目標としては、今の中学1年生が16人と初めて下の学年から人を借りなくても大会に出場できる人数が揃ったので、そろそろリーグのカテゴリーも上げていきたいです。

大山伸明監督

小倉

そうなんですね。
ぜひぜひ、頑張っていただければと思います。
陰ながら応援しています。
本日は練習中の合間にも関わらずお時間をいただきましてありがとうございました。

いえいえ。こちらこそありがとうございました。

大山伸明監督